2nd DAY




11月24日

 昨晩話込んでしまい、起きたのは10時近かった。部屋の4人はもう既に出かけてしまったらしい。今日は予定を変更してもう一泊台北に留まることにした。次の目的地「小人国」へは、台北から汽車で往復した方が都合が良かったのである。ただし今日は、昨日耳にした、台北にもう1件あるという新しい方のYHに移ることにした。紙にローマ字で「Annyonkeseyo」と書いて部屋を出る。教えられたとおり、新しいYHがあるというバス停で降りると、なんと真正面には、中華大帝国の宮殿のような、目も眩むばかりの巨大な豪華ホテルが聳え立っているではないか。「まさかこれが?」って一瞬思ったが、案の定それはYHではなく、「円山大飯店」という台北随一の有名ホテルだった。YHはそのすぐ真下に、ひっそりと付き人の様に控えめに建っていた。御主人様のように派手ではないが、お付きの者の方も結構新しくきれいで、それほど捨てたもんじゃなかった。チェックインするとすぐ、また丘を駆け上って円山大飯店の中を見学する。日本人と思しき客が多かった。何でもこの円山というのは、その昔、台湾神社があったんだそうだ。神社を壊してホテルを建てるなんて、「神をも畏れぬふとときものめ!」と無邪気に言いたくなったが、もう外国の土地に文句はつけられまい。

 近くの「士林」という、台北の渋谷とでもいうべき屋台街で腹を満たしてから、やおら駅へと足を向けた。途中で、可愛い女の子2人に駅へ行くバス停を尋ねる。2人の女の子とも、学校のらしい同じ制服を着ていたので、てっきり高校生かなと思ったら、何ともう21才になる大学生だという。もちろんその場でバスに乗るのは止めて、彼女達と一緒に駅まで歩くことにした。でもどう見ても日本の感覚からすれば、まだあどけない高校生だよ。素直だし、親切だし、無邪気だし。日本じゃ相当昔に絶滅した種の女子大生だよ。いや待てよ、今じゃ小学生の女子のなかでも、こんなに素直な娘を探すのは大変だろうなあ。彼女らいわく、日本人に対してはNONNOなどを見て憧れてるんだって。どうやら、日本で女の子に意味もなくモテる「白人男」の気分はこんな感じかと理解した。駅前には予備校街が広がっていた。予備校の看板に混じって、「自助班」というのがやたら目につき、そこで一緒に昼食を取る。これはセルフサービスのバイキング形式の食堂で、一食30元と安い上に、多数の料理を味わえて、どれも皆おいしかった。これが俺流「台湾グルメ旅」の醍醐味だね。いつのまにか気がつくともう1時だった。彼女たちと再会を約束して「再見」する。
 駅で切符を買ってホームに降りたら、なんと目の前に汽車が止まっているではないか。ラッキーっと思ったが、念のため、とりあえず扉の横にいた駅員のおっちゃんに、切符を見せて筆談で悠長に会話していたら、何の警告音もないまま目の前の扉が閉まって、そのまま汽車は発車してしまった。次の列車までは25分間待たねばならなかった。だが、いいこともあった。途中で急行らしき高級列車が入ってきて、中から降りてきたお揃いの真っ赤なユニフォーム姿の何人もの綺麗なおねーさん達を目撃できたのである。それが有名な台湾の「列車スチワーデス(筆者命名)」だった。思わず下半身(足)が、自然と彼女等の方へ動いてしまった。「あのーこの切符でこの汽車に乗れますか?」なんて、白々しくも、最初から乗れないの知ってるくせに、真っ赤なユニフォーム姿の何人もの綺麗なおねーさん達と、筆談をして楽しい時を過ごすことができた。結局、その急行の出た数分後に来た普通列車に乗る。勿論その列車にスチワーデスはいない。何元かの違いで随分損したなと大きく悔やんでしまった。
 小1時間後、中歴に到着。駅前のバス会社の兄ちゃんに英語で、いきなり「go home」と言われる。どうやら小人国へ今から行っても、1時間程度しか見学できないらしいとのこと。でもまあしかたがない、ということで訪れたのが小人国。屋外なので寒かったけど、とても見応えがあった。すべてが25分の1に縮小された小人の世界で、俺はゴジラかウルトラマンの怪獣になった気分を味わい、訳もなく総てを破壊つくしたい衝動に何度も駆られてしまった。ここにはまた是非ゆっくりと訪れたいものだ。

 台北に8時ころ戻ると、一目散に「華西街」へ行ってみた。台北の歌舞伎町らしいこの街では、ヘビを目の前で生殺ししてその生き血や毒を飲ませてくれる店や、スッポンの叩き割りの料理店などが沢山あって飽きなかった。帰りにお土産に買って帰ろう。


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